まずは、今回の賃貸併用住宅の建物情報と立地情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在 | 福岡市南区 |
| 敷地面積 | 437.31㎡(132.3坪) |
| 用途地域 | 第1種低層住居専用地域 |
| 建ぺい率 / 容積率 | 50% / 80% |
| 最高高さ制限 | 10m |
| 構造・階数 | 軽量鉄骨造 2階建 1棟 |
| 延床面積 | 339.57㎡(102.7坪) |
| 構成 | 自宅1戸+貸室3戸+駐車場4台 |
もともと実家が立っていたとに建てました。
132坪あったので、数字だけ聞くと、もっと入る気がしていました。
しかし実際に入ったのは4戸です。自宅部分をもう少し削れば5戸入れることも可能でした。しかし自宅部分を狭くして公開したくないという思いから、4戸にしました。
| 用途 | 間取り | 専有面積 |
|---|---|---|
| 自宅 | 3LDK | 97.34㎡ |
| 貸室① | 1LDK | 50.42㎡ |
| 貸室② | 2LDK | 66.81㎡ |
| 貸室③ | 3LDK | 91.25㎡ |
効いたのは容積率80%でした。132坪(437.31㎡)×80%=105坪(349.85㎡)。これが建てられる延床の上限で、実際に建てたのが339.57㎡。上限の97%まで使い切っています。
先に自宅部分面積を97㎡としました。すると賃貸部分に回せるのは208㎡しか残りません。繰り返しになりますが、もう少し自宅部分の面積を小さくすれば、貸室4部屋の貸し出しも可能でした。しかしこれから長く住む家、お金のために自分の家を犠牲にするのだけはしたくありませんでした。
3LDKで91㎡という大きな貸室が入っているのは、戸数を増やせない代わりに、1戸を大きくし、賃料アップする狙いです。
まず総額から。ここから生の数字をそのまま出します。
もちろんこれはハウスメーカーや設備によって大きく異なるため、参考値として見てください!
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 建物 自宅部分 | 約4,600万円 |
| 建物 賃貸部分 | 約5,900万円 |
| 外構工事一式 | 1,000万円 |
| 解体工事一式 | 約320万円 |
| 先行工事一式 | 約240万円 |
| 工事関係費 小計(税抜) | 約1億2,100万円 |
| 消費税 10% | 約1,200万円 |
| 工事関係費 小計(税込) | 約1億3,300万円 |
| 土地取得費 | 0円 |
| 諸費用 | 約460万円 |
| 事業予算 合計 | 約1億3,800万円 |
建物代が自宅と賃貸で分かれます。ここが普通の家との違いです。自宅4,600万円に対して賃貸5,900万円。この按分が、あとでローンの分け方にも減価償却にも効いてきます。
外構1,000万円は、正直、自分でも大きいと思っています。駐車場4台分の土間と、自宅と賃貸の境界(共用部)の費用が入っているのですが、それにしても大きい。
そして、いちばん見落としていたのが諸費用460万円です。
まず工事中金利というのは、建物ができあがるまでの間、先に実行された融資に利息だけ払う分です。
まだ引き渡されてもいない建物に、140万円払います。
保証料と合わせると、この2つだけで250万円を超えます。
ちなみに工事中金利は自己資金160万円という薄さで組んでいるので、どうしても発生する費用です。仮に融資実行からすぐに返済できる場合は不要です。しかし融資実行のタイミングは着工のタイミング。つまり入居までのライムラグの期間に銀行へ払う利子になります。
| 調達 | 金額 |
|---|---|
| 自己資金(預貯金) | 約160万円 |
| 住宅ローン | 5,200万円 |
| アパートローン | 8,400万円 |
| 合計(=事業予算) | 約1億3,800万円 |
自宅部分は住宅ローン、賃貸部分はアパートローン。借りる先も条件も別になります。
| 条件 | 住宅ローン | アパートローン |
|---|---|---|
| 借入額 | 5,200万円 | 8,400万円 |
| 返済期間 | 47年(564ヶ月) | 35年(420ヶ月) |
| 返済方法 | 元利均等 | 元利均等 |
| 当初金利 | 1.23% | 2.15% |
| 金利の段階(想定) | 1.23% → 1.43% → 1.63% | 2.15% → 2.25% → 2.35% |
| 毎月返済額 | 約12.1万円 | 約28.5万円 |
金利差は0.92ポイント。返済期間は12年違います。
「賃貸部分はアパートローンになるから金利が高い」というのは分かっていたものの、実際の条件が並んで出てくると印象が違いました。0.92という数字と、47年と35年という期間の差。この2本を同時に背負うことの恐怖感を感じなかったと言えば、嘘になります。
2本合わせて月40.6万円。これが毎月出ていきます。
貸室3戸の想定賃料はこうなっています。もちろんこれは建物のスペックや立地によって異なります。
| 住戸 | 専有面積 | 想定賃料 | 共益費 |
|---|---|---|---|
| 1LDK | 50.42㎡ | 95,000円 | 6,000円 |
| 2LDK | 66.81㎡ | 134,000円 | 6,000円 |
| 3LDK | 91.25㎡ | 173,000円 | 6,000円 |
| 満室時 合計 | 208.48㎡ | 402,000円 | 18,000円 |
満室で402,000円。ただし管理は一括借上で契約しました。
一括借上とは、私たちが直接入居者と賃貸契約を締結するのではなく、積水ハウスにリース契約として貸す形です。
メリット
・仮に入居者が決まらない場合でも必ず月々のリース料(家賃)が入ってきます。
デメリット
・手数料として家賃の5%を積水ハウスに払うことになります。
私たちはメリット・デメリットを天秤にかけて一括借上を選びました。そのため借上料率は90%(必ず払う5%+一括借上5%)です。だから実際に入るのは361,800円。差は月40,200円、年間48万円になります。
| 収入項目 | 年額 | 内訳 |
|---|---|---|
| 賃料(借上90%後) | 約434万円 | 402,000円 × 12 × 90% |
| 駐車場 | 約53万円 | 11,000円 × 4台 × 12 |
| 共益費 | 約22万円 | 6,000円 × 3戸 × 12 |
| 収入合計 | 約509万円 |
年48万円を管理会社に渡して、空室リスク、入居者対応、維持管理を引き受けてもらっています。これが高いのか安いのか、正直まだ判断できません。数年やってみて、また書きます。
| 区分 | 年額(1年目) |
|---|---|
| 収入合計 | 約509万円 |
| ローン返済(住宅+アパート) | 約487万円 |
| 固定資産税・都市計画税・償却資産税 | 約59万円 |
| 共益費・管理委託費・設備費など | 約46万円 |
| 支出合計 | 約593万円 |
| 単年収支 | 約▲84万円 |
年84万円のマイナス。月にすると約7万円です。
これは事業全体の税引前キャッシュフローです。賃貸3戸と駐車場から入る509万円で、賃貸部分のアパートローンだけでなく自宅部分の住宅ローン(年146万円)も含めて全部払い、それでも足りない最終差額が84万円になります。
数字だけ並べると、あまりいい話に見えないかもしれません。1億3,600万円借りて、毎月7万円出ていって、税金と修繕を入れればもっと増えます。
それでも建てた理由は2つです。
**普通に賃貸で暮らすより、はるかに住居費が浮くから**
福岡市南区で「97㎡・3LDK」の新築または築浅のファミリー向け賃貸に住むとなれば、家賃は月15万〜20万円近くかかります。
一方、今回の賃貸併用住宅では、賃貸部分の家賃収入が毎月のローン返済や維持費を強力にバックアップしてくれます。
普通に賃貸を借りて暮らす場合: 毎月15〜20万円がそのまま消えていく(手元に資産は残らない)
今回の賃貸併用住宅の場合: 持ち出しは毎月約7万円のみで、返済が進むほど建物という資産が自分のものになる
毎月7万円の持ち出しで「理想の広さ(97㎡)の新築自宅」に住み続けられ、ローン完済後は家賃収入がそのまま手元に残ることを考えると、住居費の節約・資産形成として非常に合理的な判断だと考えました。進めば資産が残る。そういう計算するとまったく悪くないと判断しました。
**不動産所得の損益通算と「住宅ローン控除」のダブル節税メリット**
もう一つの大きな理由は、会社員(サラリーマン)としての給料に対する節税効果です。賃貸併用住宅ならではの税制上の強みをフル活用できます。
① 不動産所得の「損益通算」による所得税・住民税の還付
賃貸経営では、建物の減価償却費やローンの支払利息(賃貸部分)、固定資産税などを経費として計上できます。
例えば帳簿上で賃貸事業が「赤字」になった場合、その赤字分を会社員の給与所得から差し引く「損益通算」が可能です。そのため、サラリーマンとしての課税所得が下がり、納めすぎた所得税の還付や翌年の住民税減額という形で手元に現金が戻ってきます。
② 自宅部分に対する「住宅ローン控除」の適用
賃貸併用住宅であっても、住宅ローン控除は可能です。
住宅ローンは毎年の住宅ローン年末残高に応じた控除額が所得税・住民税から直接引かれるため、①の損益通算とあわせることで、実質的な毎月の持ち出し額をさらに押し下げることが可能です。
ちなみに、小規模な賃貸併用住宅でありながら、①と②を足すと年間100万円近くの税金が戻ってきます。
もちろんこれは、土地代が0円だったから成立している計算でもあります。土地から買っていたら、同じ判断をしたかどうか分かりません。
ハウスメーカーを5社比較して、なぜいちばん高い積水ハウスにしたのかは別の記事に書きました。